こんにちは!
風営法と国際業務を専門とする鈴鹿行政書士事務所です。
「バーや居酒屋を、時間を気にせず深夜0時以降も営業したい!」
「接待はしないから『風俗営業許可』じゃなくて、『深夜酒類提供飲食店営業』の届出でOKだよね?」
届出ってことは、警察署書類を出すだけで簡単なんでしょ?」

そのように考えている経営者のあなた。その認識は、半分は正解ですが、半分は非常に危険な落とし穴にはまる可能性があります!
特に、「届出だから簡単」という思い込みは、深夜営業のスタートを大幅に遅らせる原因になりかねません。
その最大の関門が、実は「図面作成」にあるのです。

今回は、「届出=簡単」という思い込みに警鐘を鳴らし、深夜営業届出で絶対に軽視してはいけない図面作成注意点を、私たちプロの目線から徹底解説します!

「許可」と「届出」の違いを再確認!届出が”怖い”理由

「許可」と「届出」の違いを再確認!届出が”怖い”理由

まず、なぜ「届出だから簡単」という考えが危険なのか、その理由を知るために、風俗営業の「許可」と深夜営業の「届出」の違いをもう一度確認しましょう。

 項目 風俗営業許可 深夜酒類提供飲食店営業届出
手続きの種類許可(厳格な審査がある)届出(形式的な要件を満たせば受理)
構造検査ありなし(書類の形式チェックのみ)
難易度高い低い(と、思われがち)
営業内容接待あり接待なし・お酒メイン
営業時間原則、深夜0時まで制限なし(条例に従う必要あり)

ポイントは「審査の有無」です。「許可」は、警察署が内容を細かく審査し、構造検査を行いOKを出してくれます。
一方、「届出」は構造検査がありません。つまり、「提出された書類が、法律の要件を100%満たしていること」が大前提なのです。もし書類(特に図面)に一つでも不備があれば、警察署は「はい、ダメですね」と、いつまでも受理してくれません。この「自己責任」の重さが、届出の本当の怖さなのです。

深夜営業の届出でも、風営法許可並みの図面が必要!

深夜営業の届出でも、風営法許可並みの図面が必要!

届出だから、提出する書類も簡単なものでいいだろう」と思ったら大間違いです。
深夜酒類提供飲食店営業届出には、風俗営業許可申請とほぼ同じ、以下の専門的な図面の添付が求められます。

  • 営業所平面図
  • 営業所求積図
  • 客室等求積図
  • 音響・照明設備図

これらの図面は、お店の作りが風営法の定める「構造要件」をクリアしていることを証明するための、何より重要な証拠となります。

【最重要】警察が必ず見る!深夜営業届出の図面作成、3つの注意点

【最重要】警察が必ず見る!深夜営業届出の図面作成、3つの注意点

では、具体的に深夜営業届出では、図面のどこを厳しくチェックされるのでしょうか?これを満たしていないと、届出は絶対に受理されません。

注意点①:「客室の面積」は9.5㎡以上か?(例外あり)

原則として、客室が複数ある場合、そのうち1室の床面積は9.5㎡以上なければならない、というルールがあります。
カウンター席だけの小さなお店など、客室が1室しかない場合は、この面積制限は適用されません。この例外を知っているかは非常に重要です。営業所全体の面積は「壁芯計算」で行う必要がありますが、客室面積は内壁を基準に計算します。

注意点②:「見通しを妨げる設備」はないか?

これは風俗営業許可と全く同じ基準で見られます。
客室内に、高さ1メートル以上のつい立て、パーテーション、観葉植物、背もたれの高いソファなど、見通しを妨げるものを設置することはできません。
お洒落な空間を演出しようと設置したものが、届出の妨げになるケースは非常によくあります。図面に設備の高さを明記し、ルールを遵守していることを示す必要があります。

注意点③:「明るさ(照度)」は20ルクス以上か?

ここが風俗営業許可との大きな違いであり、最大の注意点です!

  • 風俗営業許可:客室の明るさは5ルクス以上
  • 深夜営業の届出:客室の明るさは20ルクス以上

そう、深夜営業の方が、店内を明るく保つ必要があるのです。
特に、明るさを自由に調整できる「調光器(スライダックス)」の設置は厳しくチェックされます。
もし設置する場合は、「一番暗くしても20ルクス以下にならない」ように物理的に固定するなどの対策が必須です。

なぜ「届出」なのに、こんなに厳しいのか?

なぜ「届出」なのに、こんなに厳しいのか?

「接待もしないただの飲食店なのに、なんでこんなに構造が厳しいの?」と疑問に思いますよね。
その理由は、深夜という時間帯が、騒音や風紀の乱れといったトラブルが発生しやすいからです。そのため警察は、「届出」という形式であっても、風俗営業に準じた厳しい構造要件を課すことで、そうしたトラブルを未然に防ごうとしているのです。
届出だから大丈夫」という安易な考えで開業し、後の警察立入調査で構造の不備を指摘され、営業停止…なんてことにならないよう、最初の図面作成が肝心なのです。

まとめ:簡単な手続きほど、プロのチェックが効果的

まとめ:簡単な手続きほど、プロのチェックが効果的

深夜酒類提供飲食店営業届出は、書類さえ完璧なら、スムーズに受理され、スピーディーに営業を開始できる素晴らしい制度です。
しかし裏を返せば、書類(特に図面)に一つでも不備があれば、永遠に受理されないという怖さを秘めています。

一見簡単に見える手続きだからこそ、内装工事を始める前に、私たち行政書士のような専門家の目で「この図面で法律の要件をクリアできるか」をチェックすることが、結果的にあなたの時間とお金を節約する一番の近道になります。
面倒な図面作成警察署とのやり取りはプロに任せ、あなたは最高の深夜営業の準備に集中してください🤝