こんにちは!あなたの街の法律と経営のパートナー、風営法と国際業務を専門とする鈴鹿行政書士事務所です。
お店の開業準備を進める中で、「管理者を選任してください」と警察署から言われたことはありませんか?
「管理者って、店長のことじゃないの?」
「オーナーの私がやればいいの?」
「何か特別な資格や講習が必要なの?」
そう、この風俗営業における「管理者」という役職、実は単なる店長やリーダーとは全く意味が違う、風営法で定められた非常に重要なポジションなんです。この選任義務を知らないと、思わぬ罰則を受けることにもなりかねません…😱
ご安心ください!この記事を読めば、風俗営業の「管理者」がどんな役割を担い、誰がなれて、どんな手続きが必要なのか、その全てがスッキリ分かります。
風俗営業の「管理者」とは?法律で定められた重要な役割

まず結論から。風俗営業の管理者とは、「そのお店が風営法や関連法令をきちんと守って、健全に運営されるように監督・管理する現場の最高責任者」のことです。
店長やマネージャーといった役職名とは異なり、法律上の立場であり、お店の営業許可を維持するための「要(かなめ)」となる存在なのです。
店長と管理者は何が違うの?
この質問、本当によくいただきます。違いを比較表で見てみましょう。
項目 | 店長 | 管理者 |
根拠 | 会社の役職・職務分掌 | 風営法(法律上の義務) |
役割 | 売上管理、スタッフ教育など店舗運営全般 | 法令遵守の監督・管理 |
選任 | 会社の任意 | 営業所ごとに1名必須 🏢 |
兼任 | 可能(多くの場合、店長が管理者を兼任) | 店長を兼任することは可能 |
このように、店長は「経営的な現場責任者」、管理者は「法的な現場責任者」というイメージです。もちろん、信頼できる店長に管理者を兼任してもらうことは、全く問題ありません。
管理者の具体的な仕事内容
では、管理者は具体的にどんな業務を行うのでしょうか?その責任は多岐にわたります。
- 従業員名簿の整備・管理 📄
- 18歳未満の者や高校生を接客させたり、客として立ち入らせたりしないための年齢確認の徹底
- 料金表の掲示など、法令で定められた義務の履行
- お店の構造や設備が、許可を受けた状態から変わっていないかの確認
- 客引き行為が行われないように従業員を指導
- 騒音や振動で近隣に迷惑をかけないための配慮
- お客さんからの苦情処理の責任者となること 📝
これらの業務を誠実に行うことが、管理者には求められます。
なぜ管理者が必要?法律で定められた「選任義務」

風営法第24条では、「営業所ごとに、業務の実施を統括管理する者として、管理者を選任しなければならない」と明確に定められています。
これは法律上の絶対的な義務です。
つまり、複数の店舗を経営している場合は、A店にA店の管理者、B店にB店の管理者というように、店舗ごとに選任義務があります。
もし管理者を選任しなかったり、名義だけの管理者を置いたりした場合、風営法違反となり重い罰則が科される可能性があります。
さらに、悪質な場合は営業許可の取消しという最悪の事態にもつながりかねません。
誰が管理者になれる?資格要件(人的欠格事由)をチェック
お店の法律上の責任者となる管理者には、営業許可を取るオーナー(営業者)と同じように、厳しい「人的要件」が課せられます。
いわゆる「欠格事由」に該当する人は、管理者になることができません。
- 成年被後見人、被保佐人
- 自己破産して復権を得ない者
- 特定の犯罪で刑罰を受けてから5年を経過しない者(前科)
- 集団的・常習的に暴力的不法行為を行うおそれがある者
- アルコールや薬物の中毒者
- 過去に風俗営業の許可を取り消されてから5年を経過しない者
信頼できる人物であることはもちろん、法的な要件もクリアしている必要があるのです。
風俗営業 管理者 兼任 ルール
オーナー自身が管理者を兼任することは、もちろん可能です。しかし、その場合でも「その営業所に常勤していること」が求められます。
遠隔地に住んでいてたまにしか店に来ないオーナーが管理者になる、といったことは認められません。
また、一人の人物が複数の店舗の管理者を兼任することも、原則としてできません。
あくまで「営業所ごと」に「常勤」の管理者を置く、というのが大原則です。
管理者になるための必須プロセス「管理者講習」とは?

管理者に選任されたら、必ず受けなければならないのが「管理者講習」です。
これは、風俗環境浄化協会が主催する、管理者としての知識や意識を高めるための法定の講習です。
管理者講習の受講タイミングと内容
管理者講習は、大きく分けて2種類あります。
- 選任時講習:新たに管理者に選任された人が、選任後に受ける講習。
- 定例講習:既に管理者である人が、おおむね3年に1度のペースで定期的に受ける講習。
講習では、風営法の改正点や、最近の違反事例の研究、健全な営業のための指導などが行われます。
時間は半日程度で、数千円の受講手数料が必要です。
日程や場所は、公安委員会からお店に通知が届きます。
もし管理者講習を受けなかったらどうなる?
この管理者講習の受講も、法律で定められた義務です。正当な理由なく受講を怠った場合、まずは警察署から「指示処分」として受講するよう指導されます。それでも無視し続けると、「営業停止命令」や、最悪の場合は「営業許可の取消し」という非常に重い行政処分に発展する可能性があります。
公安委員会からの通知は、絶対に無視しないようにしましょう。✅
【手続き】管理者の選任と交代で必要なこと

最後に、管理者に関する手続きについてです。新規で選任する場合と、途中で交代する場合では、手続きが異なります。
- 新規許可申請時の「選任」
- 許可申請書に、管理者となる人の情報を記載します。
- 管理者の誓約書、住民票、身分証明書などの証明書類を添付して提出します。
- 営業開始後の「交代」
- 店長が辞めて、新しい店長を管理者にする場合などです。
- 変更届出書を作成し、交代の事実があった日から10日以内に警察署へ届け出る必要があります。
- 新しい管理者の証明書類一式も、もちろん必要です。
- この「10日以内」という期限は非常に短いので、交代が決まったらすぐに準備を始める必要があります。
まとめ:管理者は店舗運営の要!正しい選任と手続きを

今回は、風俗営業における「管理者」の重要性について、選任義務から管理者講習まで、詳しく解説しました。
- 管理者は、お店の法令遵守を監督する、法律で定められた現場責任者。
- 営業所ごとに1名の選任義務があり、店長との兼任は可能。
- 管理者になるには、営業者と同様の人的要件をクリアする必要がある。
- 管理者講習の受講は、法律で定められた絶対的な義務。
管理者を誰にするか、そしてその管理者がしっかりと役割を果たせるかは、あなたのお店の未来を左右する非常に重要な要素です。
管理者の選任や交代手続きで不安な点があれば、いつでも私たち鈴鹿行政書士事務所にご相談ください。
あなたの店舗が安心して営業を続けられるよう、万全のサポートをお約束します!🤝